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会社が各店の窓口で学生証を提示し5000円を払うと、マシンやプール、サウナなどその店の全設備を1ヶ月間、自由に使える「スーパー学割」を導入したのは2002年春だ。

学割の対象は中・高・大学生と専門学校生。 通常、時間制限のない会費は最低でも710円。
入会金1万円も必要なく、口座番号を書き銀行印を押す手続きも不要とした。 全店で20人に満たなかった学生の利用が2003年7月には月200人近くまで増えた。
A社長は「将来につながる新しい利用層を広げようと考えた」と学割導入の理由を振り返る。 客数は安定しているが、主体は30〜40代の女性。
10年前に中心だった20代の女性層がそのまま持ち上がった形だ。 このままいけば利用者の年齢層が上がり、長期的に先細りする不安があった。
周辺に4つの大学がある「A」で2002年3月に試験導入。 駅前で案内500枚を配布したところ、40人が利用。

手応えを感じて全店に広げた。 利用者は前月比5割増ペースで拡大。
近隣で使う例も多い。 ワンコイン英会話、駅構内に進出外国人講師がホワイトボードに書く例文を6人の生徒の目が一斉に追う、どこにでもある英会話の授業風景。
だがここは、駅構内にある旅行会社の店舗の一角だ。 普段は新婚旅行を打ち合わせるためのスペースで、そこが毎週月、水、金曜日は即席の教室となる。
運営するのは英会話学校「A英語学院」を手掛けるA(大阪府泉佐野市)だ。 2003年春からは、社会人になっても利用を続ける会員も出始めた。
高3から通うF拓哉さんは、卒業して消防士に。 「消防士は体が資本。
レッツはトレーニングのアドバイスも充実しており、今後も続けたい」。 同様に学割組から正式会員に移行した客はジワジワと増え、2003年7月末現在、十数人に達しているという。
学割制度は神奈川県内のスポーツクラブが導入するなど業界でも広がりつつある。 レッツは2004年春から銀行引き落としの場合は月額5215円、現金払いは5775円に改訂したが利用は堅調。
A社長は「国内のスポーツクラブ業界全体でも、人口に占めるクラブ参加率は約3パーセントと10年前から変わっていない。 利用底上げには、業界全体で学生利用を掘り起こすことが重要」と強調する。
J大阪駅の中央改札口前、J西日本グループのN「T大阪支店」の教室は2003年6月の開講。 週3日、午後6時から8時まで、30分ずつ4コマの授業をこなす。

1ヶ月間50コマで修了。 毎回紙1枚の教材を配るが、50回分たまればちょっとした英会話集になる。
1コマの料金はわずか500円。 「T大阪支店」の前に授業案内の小さな黒板を置いてあり、事前予約のほか、飛び込みでも受講できる。
当初2カ月間に85人が出席、約3割がリピーター生徒の9割が女性でOが目立つ。 1コマの平均出席人数は6人。
初受講という女性は「これまでほかの英会話学校にも行ったが、英語を忘れないよう手軽な授業を受けたかった」と話す。 同社が1回500円の「ワンコイン英会話」を始めたのは2002年9月からだが、「エキナカ(駅中とはここが初めて。
「ウチは大手のように駅前一等地に大きな学校を開けない。 ならばエキナカで対抗しようと考えた」(G社長)。
2003年開講の8カ所のうち6カ所は京都駅や広島駅、下関駅などエキナカのN店内。 いずれも基本的にはトラベル英会話のカリキュラムを組む。
G社長は当初、列車内で授業ができないか、J西日本にかけあった。 規定上不可能ということで、Nを紹介された経緯がある。
折しもJ西日本も駅構内のスペースの有効活用を考えていた。 Nもトラベル英会話が旅行事業に直結するため全面的にバックアッ利益は出ず、コンビニ感覚で気軽に受講した生徒を本格レッスンに移行させることが最終目標だ。
泉佐野の本校では「月に4、5人がワンコインから本格レッスンに移行している」(G社長)・エキナカの教室でも、同じ場所で通常カリキュラムのレッスンも始めた。 日常英会話やビジネス英会話など12種類のコースを用意、1時間の単価は8000円だ。

1日に大量の乗降客が往来するエキナカは、「呼び水」商品を展開する立地としては申し分ない。 そこにわずか十平方メートルのスペースがあれば「エキナカ留学」は可能。
今後、全国展開もにらみ、N以外にも提携先を物色している。 旅行前の楽しさを増幅「予習」はつらく、つまらないものばかりではない。
あらかじめ学んでおけば、商品、サービスそのものに一層、深く親しめる場合もある。 消費者がストーリー性を求める分野、専門性が高い分野などは、予習による需要創造効果がとりわけ大きい。
「干ばつ時に熱帯雨林はどんな反応を示すのか』を英語でどう質問すればいいでしょう」「西ナイル熱が心配ですが、アリゾナでも虫よけスプレーは必要ですか」NがJの協力で主催する「世界を移動する教室」のホームページ。 ツアー出発を控え、参加者のコーナーでは連日、おしゃべりメールの花が咲く。
「E」と銘打つ同ツアーのうたい文句は「Webで出会って学んで本物を見に行く旅」。 体験旅行、学習旅行の類が今や珍しくない中で、インターネットを利用した2週間の「予習」に独自性を発揮する。
事業立ち上げは、現チームリーダーである事業開発グループのT秋氏が、学生時代に手掛けていた企画を携えNの門をたたいたのがきっかけ。 福祉活動など新規事業に力を入れる同社は、T氏ごと企画を抱え込んだ。
第1回のツアーは2002年11月の5日間。 訪問先は米アリゾナにあるコロンビア大付属研究施設で巨大なドームの中に地球環境を再現した「B」、核ミサイルミュージアムなど。
費用は1人25万8000円。 小学校1年生から71歳のお年寄りまで多彩な顔ぶれが事前学習はホームページの専用コーナーで出発の約2週間前から始まる。
自己紹介の後、日を追うにつれて主催者と参加者、または参加者同士の情報交換が盛り上がっていく。 持ち物はどうしよう、という相談から、見学先ではどんな質問をすればいいか、という学習についてのやりとりを自発的に展開していく。

通訳は同行せず、参加者には無理やりでも英語を話してもらうので、英単語や英会話への質問も目立つ。 主催者側も予習に積極的に関与、カメラ撮影のコツを伝授したりクイズ形式で訪問先の理解を深めたりと工夫を凝らす。
なぜ予習時間を設けたのか、Tリーダーの説明は単純明快だ。 「旅行は行く前が楽しいから」。
参加者は濃密な予習時間を経ることで出発前のワクワク感を共有し参加意識も高まる。 もともと参加者の向学心は高い。
まだ見ぬ仲間同士が「会話」を重ねるうち、各人の情報量は一層深まる。 現地の授業に著名な学者が同行するなど、同社はあくまで質の高い「本物の教育」を目指す。
「旅行需要というより、新しい教育需要を生み出したかった」(Tリーダー)。 主催者側の思惑通り、見学中の参加者は真剣そのもの。
学者への質問も「堂に入っていた」(Tリーダー)。 帰国後も現在に至るまでHPでの交歓が続いている。

ツアーを通じて確実にひとつのコミュニティーが形成された。 帰国後にはもうひとつの楽しみが待っている。
参加者による本の出版だ。 訪問先の紹介をはじめとする学習成果や旅行記、雑感などを豊富な写真とともに1冊に編集する。

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